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東京高等裁判所 昭和44年(う)2221号 判決 1970年6月10日

被告人 山田米太郎

主文

本件控訴を棄却する。

理由

本件控訴の趣意は、弁護人鈴木市五郎作成の控訴趣意書記載のとおりであるから、これを引用し、これに対し当裁判所は次のとおり判断する。

論旨第一について

所論は、要するに、被告人は、民有地において賃借権に基き砂利の採取をしたものであつて、かかる場合、右採取のため土地を堀さくしたからといつて、河川法第二七条にいう堀さくには当らないものというべきであるから、被告人の右行為を同条にいう土地の堀さくである旨認定した原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認がある、というのである。

よつて、按ずるに、公有地であると私有地であるとを問わず河川区域内の土地において土地の堀さくをすることは、法定の除外事由に当らない限り、たとえ所論のように河川法上河川管理者の許可を要しない土石の採取のためにする場合であつても同法第二七条にいう土地の堀さくに当ると解すべきこと、同法条の文理及び法意に照らし明らかであり、原判決には所論のような違法はない。論旨は理由がない。

同第二 (量刑不当)について

しかし、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠を精査し、当審において事実の取調をした結果をも参酌して按ずるに、原判示の罪質及び情状、その他本件に現われた量刑の資料となるべき諸般の情状を総合考察すると、所論を十分斟酌しても、原判決の量刑が不当に重いとは考えられない。論旨は理由がない。

よつて、本件控訴は理由がないから、刑事訴訟法第三九六条によりこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。

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